以前のエントリで、SIerを退職したという記事を書きました。
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SI業界自体に問題を感じていると記載しましたが、SIの末端がなぜそのような状況に陥っているのか調べてみました。すると、下記エントリが、下請けSIerの問題点を指摘していましたのでまとめてみたいと思います。下請け派遣エンジニアの目線での話です。
その前に、そもそもSIerとは?
システムインテグレーター(英: System Integrator)は、個別のサブシステムを集めて1つにまとめ上げ、それぞれの機能が正しく働くように完成させる「システムインテグレーション」を行なう企業のことである。情報システム(情報技術産業、IT業界)、軍需産業において名乗ることが多い。略してSIer(エスアイヤー)などとも呼ばれる。 システムインテグレーター - Wikipedia
SIerとは、システムインテグレーション(SI)を行う業者のことである。SIに「~する人」という接尾辞「-er」を付けてできた造語である。 システムインテグレーションとは、システムを構築する際に、ユーザーの業務を把握・分析し、ユーザーの課題を解決するようなシステムの企画、構築、運用サポートなどの業務をすべて請け負うことである。これらを行う業者がSIerである。 SEとも似ているが、SIerは、コンサルティングを中心とした業務がメインであるのに対し、SEは、技術を中心とした業務がメインである。ただし、中小規模の企業になると、SIerと同じような業務をすべてSEが行っている場合もあるため、明確な定義はしにくい。 SIerとは : -> IT用語辞典バイナリ
システムを受注し、システムを設計して実装、運用まで行うことがSIerの仕事です。自社で開発しているパッケージソフトやWebサービス以外の仕事は、日本ではほとんどこのような仕事です。 業界構造自体にも問題があるとされています。 参考:ITゼネコン - Wikipedia
IT技術者はSI市場に有り余っている
SIerの主役は言うまでなく正社員のSE、リーダー、マネージャー勢である。実際にコードを書くエンジニアは外部から連れてきた人間であり、SIerのプロパーには「コードを全然書けない or 読めない人間」というのは珍しくない。金を稼いで仕事をする題材がたまたまITだっただけで、特にプログラミングが好きでもない。
だから彼らは別にゼネコンでも商社でも良かった訳だ。要は企業の中に割り入ってピンハネできる構造、一部の人達の上に立って搾取できる力が欲しかっただけで、SIerに流れ着いたのはただの成り行き。特に業界の事なんて考えてないし、自分達にとって「養分」的な立場のエンジニアなんて更にどうでもいいと思っている。
技術者が市場に有り余り、それを利用して商材としている点が問題です。エンジニアが不足していると世の中で言われていますが、世の中に無駄なシステム、無駄な仕事をしているエンジニアが大勢いるのが、現在の日本です。無駄なシステムを売るのが仕事なので、SIerが悪いわけではありません。それを買う、お金を出す、ユーザが諸悪の根源なのではないでしょうか。
SIerの技術水準
低い。実際にプログラミングをする側の人間の立場で考えることができないし、とにかく安全重視だから、「枯れたもの」「過去に実績のあるもの」を使いたがる。もちろん「コードも書けて技術アンテナも鋭くてエンジニアの視点で語れるSE」も確かにいることはいるが、残念な事に絶滅危惧種だ。
SIerのエンジニアは技術を高めることを必要とされません。開発年数以外でエンジニアの技術を見積もることができないからです。技術を高めても、現場でその技術を使うことはありません。
SIerから貰える給料
残業もそれなりにあるという事情からSIerの正社員が貰える給与は低くない。30代で1000万超えも普通にいる。
ただ、エンジニアがSIerから貰える給与は高くない。SIerにとってエンジニアというのは「外部の人間」であり、有限契約だから育てる意味などない。エンジニアに対する給与などただのコストに他ならないので最優先削減対象だ。
しかし、給与が低い最大の理由はSIerで与えられる仕事の程度が低い事だ。SE達のレベルに合わせないといけないし、エンジニアをいつクビにして別の人間に入れ替えても済むように「その人にしかできない仕事」はあまり作らないからである。
技術力の部分でも記載しましたが、技術レベルを高めてしまうと商品であるエンジニアを集めることが出来なくなってしまいます。商品は、あくまでもエンジニアであり、成果物ではありません。低い技術で、長時間、低賃金で働かせることでビジネスが成立しています。
SIer達の人格
「お前に幾らメリットがなくても、俺たちのために犠牲になってくれ」とナチュラルに言える所に、SIerとエンジニアは決して分かり合えないものだと絶望したものだ。
無茶な残業、技術が合わないエンジニアの増員など、一度要求を飲むと、さらに無茶な要求を投げてきます。断ると、仕事がなくなるという保障つきです。
SIerでのやり甲斐
仕事のレベルが低い以上、やり甲斐など少ない。ここに加えて更に致命的な問題がある。
どの職場にも起こり得る事だが、特にSIerはタスク配分が下手くそなので「仕様が固まるまで待ち」という状況がよく発生し、すごく暇なことがある(その癖、納期は動かないから後で残業地獄)。ウォーターフォール式だから、SE様がお仕事を終わらせない限り、我々はなかなか仕事を巻き取れない。ゆえに時期によっては本当に仕事がない。
技術力のある人間ほど空虚な時間を過ごすというのを目の当たりにすれば、もう我々は技術を買われてる訳ではなく単に飼われているだけに過ぎないと分かる。
仕事を効率よく行ってしまうと暇になります。仕事が無いのに仕事はしなければいけません。ここで、思考停止が出来る人はSIerに向いているのでしょう。
平均未満のエンジニアには向いている
逆に言えば能力の低いエンジニアはSIerで働いてもいいってことだ。別にプログラミングが好きな訳でもないし、プライベートで勉強して技術を磨く訳でもない。適当に既存コードやググって1番目に出てきたページからコピペして貼り付けて動けばそれでいい。ある意味気楽ではないか。
またSIer以外の企業にとってもこれは有り難い事だ。SIerは有名な「人/月単価」という頭数払いをしてるので、とにかく送り込めば金が取れる。結構あっさりクビにはしてくるものの、プログラミング未経験の人間を経歴偽造して送ればそれなりの金が手に入るチャンスがあるのだ。
この業界に多重請負が多いのは、SIerが技術不問とは言わずとも技術軽視で人を飼うからであり、IT企業の外面をしながら実態は派遣会社な零細企業が本当に多い。だからIT業界で正社員になるのは非常に簡単だ。俺ですら幾度も断っているし、たとえ待遇面や収入面が非正規以下だとしても、「正社員」という肩書の信仰は根強いから、それを喜んで受ける人もいるんだろう。
結局、人の雇用を支えてるのは中小零細企業な訳で、そういう意味ではSIerは社会に資するものではある。全体的に見れば害悪かもしれんが。
以前の記事で、会社の存在意味がわからないと書きました。雇用を支えているという社会的側面があることは、退職してからしばらくして気づきました。「仕事が面白くない」とか「このシステムの存在意味がわからない」といった主張は、論点になりません。彼らにとって、SIerでの仕事は、生きるためにするものだからです。仕事はしなければいけないもので、仕方ないから労働をするのです。この問題は、専門学校で教える立場になった今、根本的な問題の1つとして認識しなおしました。
まずは転職サイトに登録し、他の会社の条件と比べてみてはいかがでしょうか?
SI業界は根本的に変わらなければいけない
いかがでしたでしょうか。SIerの業界体質自体に問題があると考えている人は多いようです。実際に、以前の記事でも多くの共感をいただきました。